ちょこっと着物知識

着 物 は こ こ ろ

  躾(しつけ)について

「衿を正す」、「躾(しつけ)をかける」、「折り目正しい」と言う言葉があります。
この言葉は、「きもの」からできたことばです。
「きものを着る」ということは、単に表面的な美しさだけではなく、精神的な美 しさ、つまり内面から出る美しさも必要だと思います。
着物を美しく着るということは、技術はもちろんのこと、それを身につけたときの、 立ち居振舞い、しぐさによりその美しさが一層増すものと思います。 このような立ち居振舞いは一概にできるものではなく、小さいころからのしつけの 積み重ねが大事になってきます。
「しつけ」とは「躾」と書き、「美しい身のこなし」という意味でもあります。

○不躾は目に立たぬかは躾とて 目に立つならばそれも不躾

(立居振舞いが綺麗でも、それが人目を意識するものでは却って不躾になる)

○手も足も みな身につけて使うべし 離れれば人の目にや 立ちなん

(おじぎをするときなど、手も足も身体の一部として、自然の流れとなるように)

○仮初の立居にもまた 素直にて 目にかからぬぞ躾なるべき

(何事も自然でその人らしい動作を身につける素直な心、知ったかぶりは禁物)

着物を仕立てたとき、衿、袖、裾・・・・等に着用するまでくずれないように折り山 を「しつけ」といって、しつけ糸で押さえておきます。これも着物に対する「しつけ」 とでもいえるのでしょうか?
このしつけの掛け方は、キツ過ぎても緩すぎても、しつけ糸は役に立ちません。
着物のしつけ、なんとなく子供の躾に共通するものがあると思いませんか。
子供に対して、厳しすぎても(きつくても)、甘やかし過ぎても(ゆるすぎても) いけないと思うんですが。
個人としての個性は大事だけれど、一般社会で人に迷惑をかけない最低限のルール というものを、きものにしつけをかけるように、子供にもしつけをかける。
身について、定着するまで。
着物のしつけと、「躾」は無関係とは言えないかもしれませんね。



合わせる、結ぶ

衿合わせのよしあしで、その着物姿の美しさ、つまり個性的な美しさがかなりの 割合で出てきます。
きっちり合わせるばかりが美しいのではなく、体型や年齢、着る人の雰囲気など によって、それは多少は違ってもいいのです。


着物着付けに上手下手は有りません。
自分の個性を十二分に引き出せるような着つけ方、それが一番、着物姿が美しく 見える条件なのです。

着物を着る基本動作は、まず左右の衿を合わせる、帯を結ぶ、この二つだと思い ます。
   衿を合わせるということは、"人の心と心を合わせる"ことを意味し、     帯を結ぶことは、"心を結び合う"ことを象徴していると思います。

日本のよき伝統の和服とともに、人間と人間の優しい心のつながりを、大切にし ていきたいものです。